海外メーカーがECモールで日本語の商品ページを作り、商品を海外倉庫から日本の購入者へ一個ずつ発送する。従来は日本国内の輸入事業者が商流にいないため、事故時に誰が技術資料を出し、回収を動かすのかが曖昧になりやすい販売形態でした。
2025年12月25日、製品安全4法の改正法が施行されました。PSマーク対象製品を日本国内の消費者へ直接販売する一定の海外事業者は「特定輸入事業者」となり、国への届出、国内管理人の選任、技術基準への適合などを負います。
PSEマークの画像を商品へ印刷するだけでは販売できません。誰が輸入事業者かを商流で確定し、その者が適合確認・検査記録・事故対応を説明できて初めて表示の根拠ができます。
本記事は2026年9月8日に、経済産業省の特定輸入事業者制度ページ、改正製品安全4法ガイドライン・FAQ、電気用品安全法の案内、国内管理人の義務資料を確認しました。製品区分と技術基準は仕様で変わるため、SKUごとに所管経済産業局または専門機関へ確認してください。
最初に配送ではなく売主と輸入者を描く
商流から法的な責任主体を確定します。
同じ海外製品でも、国内商社が買い取り輸入して日本の店舗へ卸す場合、海外事業者がモールを通じて日本の消費者へ直送する場合、日本企業が販売だけ仲介する場合で規制上の役割が変わります。送り状の発送人だけではなく、売買契約、所有権、通関、代金、返品、事故連絡を図にします。
日本企業が輸入事業者なら、改正前から引き続き国内の輸入事業者が規制対象です。海外直販だから自動的に特定輸入事業者となるのではなく、日本の輸入事業者を介さず、取引デジタルプラットフォームの利用等により国内消費者へ直接輸入する商流かを確認します。
モール運営者、決済代行、通関業者、倉庫、国内管理人は、関与しただけで同じ責任になるわけではありません。各社が契約で担う仕事と、法律上の届出事業者を別の列にします。
「海外から届く」ではなく、消費者との売主、輸入申告、国内の輸入事業者の有無、PS表示主体を一つの商流図へ載せると、特定輸入事業者か判定できます。
電気用品に当たるかを型式ごとに判定する
商品名ではなく定格と構造で区分します。
USB充電器、延長コード、照明、家電などは外観が似ていても、定格、用途、構造によって電気用品安全法の対象区分が変わります。商品名や海外のHSコードだけでPSE対象外と決めません。
電気用品は、危険度が高く登録検査機関の適合性検査が必要な「特定電気用品」と、それ以外の電気用品に分かれます。ひし形と丸形の表示をデザイン選択のように入れ替えず、法令区分、技術基準、必要な検査を対応させます。
セット商品では、電源アダプター、コード、充電器、本体を分けて判定します。本体が対象外でも同梱アダプターが対象になる場合があり、仕入先が変われば型式と証拠も変わります。
商品名ではなく、型式、定格、部品、試験資料を一つの製品ファイルへそろえます。
特定輸入事業者は事業開始を国へ届け出る
販売前に届出と必要資料をそろえます。
対象の海外事業者は、PSマーク対象製品を日本の消費者へ直接販売する前提で、経済産業省本省または管轄の経済産業局へ事業開始を届け出ます。届出なしに国内管理人だけが勝手に申請する運用は認められません。
電子手続には日本国内の代理人等とgBizIDプライムを使う方法が案内されています。提出資料は法ごとに異なり、特定輸入事業者の情報、製品区分、国内管理人、権限証明、委託契約、誓約などをそろえます。
販売開始日から逆算して、対象判定、技術資料、国内管理人契約、届出、表示確認をゲート化します。商品ページ公開を先行し、売れた後に書類を探す順序にしません。
国内管理人は住所貸しではなく安全対応の窓口になる
記録・行政・回収を動かせる相手を選びます。
国内管理人は個人・法人を問いませんが、日本に住所があり、日本語でコミュニケーションできるなど一定の基準を満たす必要があります。海外事業者との契約だけでなく、国内で行政と連絡し、製品安全上の措置へつなげられる体制が求められます。
委託契約には、経済産業大臣との連絡、回収など危害の発生・拡大を防ぐ措置、行政通知を受ける権限、検査記録・適合性証明書の提供と保存、報告徴収・立入検査・製品提出への対応を含めます。
国内管理人は検査記録の写しを保存し、報告徴収等の対象になります。特定輸入事業者との連絡体制を定期的に確認し、契約解除前にも所定の報告が必要です。月額の住所利用料だけで比較せず、事故時の24時間連絡、技術文書の言語、回収権限、費用負担を見ます。
国内管理人を選ぶ基準は所在地ではなく、事故発生時に型式・販売先・試験記録を即時に取り出し、海外事業者へ回収を実行させられるかです。
技術基準と試験証拠を販売前に閉じる
型式と量産品へ証拠を結びます。
届出事業者は、対象電気用品が技術基準へ適合するようにし、自主検査を行い、記録を保存します。特定電気用品では登録検査機関による適合性検査と証明書も必要です。海外のCE表示や別市場向けの試験報告だけで日本の適合を自動的に証明できません。
試験報告書は型式、工場、主要部品、定格、規格版、発行機関を確認します。部品変更や工場追加を調達部が行った時、以前の証明書をそのまま使えるか技術担当が再判定します。
検査記録はPDFを一度受け取って終えず、販売SKU、ロット、製造日、輸入・直送期間へ結びます。事故時にどの購入者へ連絡するかまで追える販売台帳を持ちます。
PSマークは最後に表示する結果である
表示より先に適合と検査を完了します。
PSマークは技術基準適合、自主検査、必要な適合性検査を終えた届出事業者が表示する結果です。商品画像へ仮のマークを入れ、後から証拠をそろえる運用は順序が逆です。
表示にはマークだけでなく、届出事業者名、定格など必要事項があります。製品本体、タグ、包装など法令が認める位置・方法を製品区分で確認します。ECページの画像にPSEと書いても、本体表示の代替にはなりません。
モール審査で画像が承認されたことと、法令適合は別です。越境EC市場比較で販売チャネルを選ぶ場合も、出品審査を製品安全責任の移転と誤解しません。
PSマークは「安全そうに見せる販促アイコン」ではなく、届出事業者が型式ごとの適合と検査を完了したことに責任を持つ法定表示です。
モール運営者も出品時の情報確認を設計する
出品者単位で売主と製品証拠を見ます。
取引デジタルプラットフォームは、行政から危険製品への対応を求められる制度との接点を持ちます。出品者の国、売主、発送元、PSマーク、届出事業者、国内管理人、型式を商品登録時に取得し、画像だけで自動承認しません。
同じ商品ページへ複数の海外出品者が相乗りする場合、出品者ごとに届出と製品証拠が違うことがあります。商品コードが同じでも、工場、電源部品、販売主体を分けて審査します。
削除要請を受けた時に、ページを非表示にするだけでなく、受注停止、発送停止、購入者通知、返金、回収、行政報告へ接続します。再出品や別名義出品を画像類似・型式・口座から検知します。
日本の輸入者を挟む案と直接販売案を費用比較する
回収まで含む総費用で商流を選びます。
海外事業者が国内商社を正式な輸入事業者として販売する案と、自ら特定輸入事業者となり国内管理人を置く案では、取引条件と管理費用が違います。単に中間マージンの有無で比べません。
国内輸入者案は、輸入者が技術確認、届出、検査、表示、事故対応を担う契約にできますが、製造者から十分な資料が出なければ販売できません。直接販売案は販売価格と顧客関係を持ちやすい一方、国内管理人、文書翻訳、行政対応、回収費用を海外事業者自身が負担します。
比較表には、初期試験、型式追加、年間管理、返品、保険、回収、行政照会、契約終了時の在庫を入れます。販売数量が少なくても、事故時の固定費は小さくなりません。
変更管理は部品一個を証拠へ戻す
代替部品を技術判断へ戻します。
電源コード、プラグ、ヒューズ、バッテリー、樹脂、工場を変更すると、安全性と適合証拠へ影響します。仕入先のコストダウンを購買承認だけで通さず、製品安全担当へ変更通知を出します。
変更申請には、対象型式、旧新部品、仕様差、試験要否、在庫切替日、表示変更、販売停止の要否を入れます。海外工場から「同等品」と回答されても、同等性の技術根拠を確認します。
サプライヤーのサイバーリスク管理で扱う供給網の把握に加え、代替調達が技術基準の証拠を切らさないかを見ます。緊急調達でも出荷前ゲートは省略しません。
事故時は販売停止と購入者特定を同時に行う
調査完了を待たず被害拡大を止めます。
発煙、発火、感電、破損などの連絡を受けたら、使用状況、型式、ロット、写真、けがを記録し、同じ製品の販売・出荷を止めます。原因調査が終わるまで購入者名簿を作らないのでは遅れます。
国内管理人は海外事業者、モール、物流、試験機関、行政の連絡をつなぎます。誰が回収を決め、費用を払い、日本語で告知し、返品を受けるかを契約で決めておきます。
重大製品事故の報告、リコール、行政命令など該当する手続を個別に確認します。企業向けサイバー保険と同じく、保険加入だけで停止・通知・証拠保全の実務は代替できません。製造物責任保険の対象国、免責、回収費用も確認します。
事故対応力は問い合わせへ返信できることではなく、24時間以内に対象SKUを止め、販売先を抽出し、行政と購入者へ同じ事実を伝えられることです。
販売開始判定を製品ファイルで行う
一SKUの根拠を一か所で再現します。
SKUごとに、商流図、電気用品区分、届出、国内管理人契約、技術基準、試験報告、自主検査、表示版下、製造工場、販売国、購入者追跡、事故連絡を一つの製品ファイルへまとめます。
販売開始会議では、マーケティング担当の発売希望日ではなく、未解決項目の有無を見ます。試験対象と量産品が同じか、表示主体と売主が一致するか、国内管理人が最新版を持つかを確認します。
四半期ごとに、販売中SKU、変更、事故、苦情、記録保存、国内管理人との連絡試験を監査します。契約終了時は、販売停止、残在庫、過去販売分の事故対応、記録保存期間を引き継ぎます。
国内管理人の交代は販売継続の条件として扱う
記録と事故対応を切れ目なく移します。
国内管理人との契約を終了する場合、特定輸入事業者は販売を続けながら後任不在にできません。解除予定、行政への事前報告、後任の基準確認、届出変更、記録移管を一つの工程にします。
旧国内管理人が保存していた検査記録、適合性証明、行政通知、事故・苦情記録を、型式一覧と照合して新管理人へ渡します。ファイル数だけを数えず、販売中SKUと過去販売品の全てについて証拠を開けるか確認します。
連絡試験はメール到達だけで終えず、対象製品を止めて購入者へ連絡するところまで通します。
契約解除の30日前までに求められる申出など、法令・契約上の期限をカレンダーへ入れます。交代日に行政から連絡が来ても、誰が受けて海外事業者へ届かせるかを実演します。
販売終了後も、耐用期間中の事故や回収へ対応する記録が必要です。国内管理人契約の終了条件を、最後の出荷日ではなく、記録保存と事故対応の継続期間から決めます。
交代時の棚卸しは、契約書の別紙とECの商品一覧を突合します。販売終了表示にしたSKU、セット品の内蔵電源、交換用アダプター、保証交換品も含め、国内管理人が把握していない型式を残しません。販売数量がゼロの型式でも、輸入済み在庫やサンプル配布があれば所在を確かめます。
連絡試験では架空の発煙事故を一件作り、受信から販売停止、倉庫保留、購入者抽出、行政相談文案までの所要時間を測ります。海外本社が休暇中、旧管理人の担当者が退職済み、モールの商品名と型式が違うという条件も加えます。そこで抽出できない注文や開けない試験報告があれば、交代完了にはしません。
月次の販売台帳には、SKU、型式、ロット、販売先、届出主体、国内管理人、適合証拠の版、変更履歴を結びます。モールごとに商品IDが違っても、事故時には同じ型式へ戻せる設計にします。返品・保証交換で別ロットを送った場合も履歴を上書きせず、購入者が現在持つ製品まで追えるようにします。
国内管理人の交代完了は契約書への押印ではなく、販売中・販売済み全型式の証拠と事故対応権限が切れ目なく移ったことです。
参考情報
海外直販、国内管理人、PSEを支える公式資料です。
以下は2026年9月8日に内容と到達性を確認する一次情報です。
よくある質問
気になる質問を開くと、本文の重要点を短く確認できます。
Q海外事業者が日本語サイトで売れば必ず特定輸入事業者ですか?
A日本の輸入事業者を介さず国内消費者へ直接輸入する商流かなど、法令上の要件で判断します。言語やサーバー所在地だけでは決まりません。
Q国内管理人がPSE試験を全て行うのですか?
A適合義務の主体と国内管理人の役割を分けます。国内管理人は記録保存や行政対応などを担いますが、委託しただけで特定輸入事業者の義務が消えるわけではありません。
QCEマークがあればPSE試験は不要ですか?
ACEは別制度です。日本の電気用品区分、技術基準、自主検査、必要な適合性検査を型式ごとに確認します。
QECモールの出品審査に通れば販売できますか?
Aモールの審査と法令適合は別です。届出事業者は、適合・検査・表示・記録を自ら説明できる必要があります。
Q国内倉庫から発送すれば海外直販ではなくなりますか?
A発送場所だけで決まりません。売主、所有権、輸入申告、代金、返品、国内輸入事業者の有無を商流全体で確認します。
Q国内管理人との契約を終了すれば販売済み商品の責任も終わりますか?
A過去販売品の事故・回収・記録対応は残り得ます。解除前報告、後任、記録移管、残在庫、購入者連絡を契約終了計画へ入れます。