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2026年改正マンション法で総会・建替えはどう変わった?管理組合の実務を整理

2026年4月施行の改正マンション関係法を、総会の母数、所在不明者、規約、共用部分変更、建替え・更新・売却・取壊し、賃借人対応まで整理します。

マンション管理組合の総会で、議長と区分所有者が議案書、出席票、議決権集計表を確認している。

改正後は議案ごとに、誰を母数へ入れ、どの多数決で決めるかを総会前に確定します。

マンション総会で「賛成が過半数だった」と報告しても、2026年4月以降はそれだけでは決議が成立したか分かりません。全区分所有者を母数にしたのか、出席者を母数にしたのか、頭数と議決権の双方を満たしたのか、特別決議か普通決議かで結論が変わるからです。

2025年成立の改正マンション関係法は、2026年4月1日に多くの部分が施行されました。区分所有者と建物の「二つの老い」に対応し、総会を開いても決まらない状態を減らす一方、出席しない人の権利が軽くなったと単純化できる制度ではありません。招集、議案の要領、出席、委任、議決権、利害関係、所在不明者の手続を残す必要があります。

改正後の管理組合が最初に直すのは賛成率ではなく、議案ごとの母数、頭数、議決権、必要多数を一枚で再現できる総会集計表です。

本記事は2026年9月8日に、国土交通省の令和7年マンション関係法改正ページ、全国説明会資料、マンション標準管理規約改正、再生マニュアル、施行令・施行規則資料とe-Gov法令を確認しました。個別の決議成立、裁判所への申立て、補償、税務、登記は、対象建物の規約・権利関係と最新法令を弁護士、司法書士、マンション管理士等へ示して確認してください。

4月1日より前の規約をそのまま読まない

施行後の集会規律と自分の規約を条文ごとに照合します。

施行後に招集手続を始めた集会には、改正後の集会規律が作用します。改正法と抵触する規約の定めは効力を失う場合があるため、規約へ旧法の文言が残っていることを理由に旧方式で集計しません。施行日前後にまたがる案件は、総会日だけでなく招集手続の開始日を記録します。

国土交通省は改正法を踏まえてマンション標準管理規約を改正しています。ただし、標準管理規約は各マンションの規約そのものではありません。管理組合は、自分の建物の用途、棟構成、議決権割合、専有部分、駐車場、外部所有者、管理者方式に合わせて改正案を作り、適法な手続で自分の規約を変更します。

まず現行規約へ条文対応表を付けます。総会の招集、議案要領、定足、委任状、議決権行使書、普通決議、特別決議、共用部分変更、管理者、国内管理人、規約保管を並べ、法改正で無効になり得る文言と、任意に残せる厳格な条件を区別します。

標準管理規約の新版をダウンロードしただけでは、自分のマンションの規約は変わりません。現行条文との差分を議案化し、総会決議と保管・周知まで完了させます。

普通決議は出席者基準になっても定足を確認する

出席、頭数、議決権の三つを分けて集計します。

改正法は、普通決議について原則として出席した区分所有者とその議決権の各過半数で決する仕組みへ変えています。同時に、総会を成立させるための定足数があります。「出席者の過半数」だけを切り出すと、少人数だけで総会を開いて決められると誤解します。

出席の扱いには、会場出席、オンライン参加、委任状、議決権行使書などがあります。規約と招集通知で方法を明確にし、本人確認、代理権、部屋番号、共有持分、賛否が競合した場合の優先規則を締切前に決めます。白紙委任状を議長へ一律集約する運用は、議案ごとの意思が見えず、後の紛争要因になります。

集計表では、全区分所有者数と全議決権、出席区分所有者数と出席議決権、賛成の頭数と議決権を別欄にします。専有面積に応じて議決権が異なる建物では、賛成人数だけが過半数でも議決権が届かないことがあります。

決議ごとに母数と必要多数が違います。表は整理の視点であり、個別案件は改正法と規約で確定します。
決議の種類主な対象先に確定すること見落としやすい点
普通決議日常管理・予算等定足と出席者の頭数・議決権出席者基準だけを切り出さない
規約・重大変更規約、共用部分の重大変更特別決議の母数と特別影響工事額だけで区分しない
建替え・更新建物の再生と権利移行法定事由、必要多数、権利変換可決後の資金・仮住まい
売却・取壊し建物・敷地の処分買受条件、賃借人、残余財産決議後の敷地共有を残さない

出席者基準への変更は「欠席者を無視する」制度ではありません。定足を満たし、出席者の頭数と議決権の二つで賛否を数えます。

特別決議は議案名だけで必要多数を推測しない

法定事由と必要多数を技術証拠から確定します。

規約変更、共用部分の重大な変更、建替え、建物更新、売却、取壊しでは、必要多数と母数が異なります。さらに、耐震性不足、火災安全性不足、外壁剝落のおそれ、給排水管損傷、バリアフリー不適合など、客観的な要件を満たす場合に多数決要件が緩和される制度があります。

「老朽化しているから4分の3で建替えられる」と先に数字を決めず、どの法定事由を、どの調査報告書と行政判断で示すかを確定します。劣化診断の説明資料と、法令上の要件を立証する資料は同じとは限りません。総会前に技術者と法務が証拠の用途を合わせます。

議案書には、決議の正式名称、根拠条文、対象範囲、必要な区分所有者数、必要議決権、特例を使う根拠、反対者・賃借人への影響を記します。「再生方針承認」のような曖昧な題名で、どの法的効果が生じるかを後から決めません。

所在不明者は名簿から消すだけでは除外できない

調査と裁判所手続を総会日程へ入れます。

郵便が戻る、連絡先電話が使われていない、管理費が滞納しているだけで、その区分所有者を決議の母数から削除できません。改正法では、裁判所の関与により所在不明区分所有者を一定の決議の母数から除外できる制度が設けられました。所在調査と申立てを経る仕組みであり、管理会社の判断だけでは足りません。

調査では、登記、組合員名簿、緊急連絡先、郵便記録、管理費の送金元、賃借人・親族への適法な照会などを時系列で残します。個人情報を必要以上に掲示したり、近隣へ事情を言い広めたりせず、調査目的とアクセス権を限定します。

裁判所の手続には時間がかかります。大規模修繕や再生を検討し始めてから所在不明が発覚するのでは遅いため、年一回の名簿更新、国内連絡先、相続発生時の届出、海外所有者の国内管理人を平時の管理へ入れます。

所在不明者除外は、返送封筒一通で使える集計上の近道ではありません。調査記録と裁判所の手続を、総会日程から逆算します。

共用部分の変更は費用と形状の両方で説明する

工事範囲、権利影響、資金を一つの議案へまとめます。

エレベーター更新、窓・玄関扉、給排水管、耐震補強、バリアフリー、宅配設備、省エネ改修では、どこが共用部分か、専有部分へどう立ち入るか、形状・効用をどこまで変えるかが問題になります。工事金額が大きいことだけで決議区分を決めません。

工事議案には、工法、範囲、性能、耐用年数、施工期間、騒音、断水、仮設、専有部分への影響、費用、修繕積立金、借入、一時金を示します。マンション修繕積立金の見方とつなぎ、決議要件を満たしても資金が不足する場合、どの時点で工事範囲を見直すかを決めます。

区分所有者に特別の影響を及ぼす変更では、その承諾が問題になる場合があります。全体便益だけを説明し、店舗、障害がある居住者、高齢者、最上階・一階など特定住戸の不利益を見落としません。設計段階で影響住戸を特定し、代替動線や補償を議案へ反映します。

マンション管理組合の役員と建築士が、外壁、給排水設備、共用廊下を現地確認し、修繕と再生の対象範囲を図面へ記録している。
法定事由や工事範囲は、建物の現況と調査証拠から決め、議案名だけで推測しません。

建替え以外の再生手法が増えた

決議後の権利、住まい、金銭、失敗時まで比較します。

従来、区分所有関係を多数決で大きく転換する代表的な選択肢は建替えでした。改正後は、建物更新、建物敷地売却、建物取壊し敷地売却、取壊しなど、再生手法が拡充されています。選択肢が増えたからといって、古い建物を簡単に売却できるわけではありません。

建替えは建物を取り壊して新しい区分所有建物へ移行するのに対し、売却は買受人と価格、退去時期、賃借人、抵当権、税、残余財産の扱いが中心になります。建物更新は躯体を活かす範囲や権利変換の設計が異なります。取壊しだけを決めた場合は、その後の敷地共有をどう解消するかまで示します。

比較時は、決議に必要な多数だけでなく、事業期間、仮住まい、追加負担、売却手取、税、融資、戻り入居、反対者への売渡し請求、賃借人の退去、事業が不成立になった場合の費用を同じ基準日で置きます。最も可決しやすい案ではなく、実行後の暮らしと権利が説明できる案を選びます。

再生手法は「必要多数が低い順」に選びません。決議後に誰が建物・敷地・金銭を持ち、いつ退去し、計画中止時に何が残るかまで比べます。

賃借人と反対者への説明を決議後へ送らない

入居者・店舗の契約と移転を事業日程へ含めます。

区分所有者の決議が成立しても、住んでいる人が全員区分所有者とは限りません。賃貸住戸の入居者、店舗テナント、使用貸借の家族などがいます。建替え・売却・取壊しでは、賃貸借の終了、明渡し、補償、移転期間が別の法的問題になります。

賃借人へ「総会で決まったので来月退去」と通知するだけでは、生活や営業を移せません。契約期間、更新、造作、営業補償、移転先、学校・介護、敷金、原状回復を確認し、法令上の手続と事業日程を合わせます。国土交通省・法務省の資料が示す補償の考え方を、個別契約へそのまま当てはめず専門家と確認します。

反対区分所有者にも、賛成を迫る資料ではなく、選択肢別の価格算定、負担、権利、期限、不成立時の扱いを示します。評価会社や事業協力者の利益相反を開示し、質問と回答を議事録へ残します。

管理者方式でも判断責任を外注しない

法定必須、推奨、委託先希望を分離します。

管理会社等が管理者を担う外部管理者方式では、招集、議案作成、契約、工事発注が同じ組織へ集中しやすくなります。マンション外部管理者方式の選び方で確認する利益相反、報告、監督、解任、引継ぎを、改正法対応でも外せません。

管理者が法改正を理由に規約改正や工事を提案する場合、法定必須、標準規約の推奨、自社運用上の希望を三列に分けます。「法改正対応一式」という見積では、何が必要で何が任意かを区分所有者が判断できません。

理事会、監事、外部専門家は、招集者、議長、集計者、契約相手、報酬受領者を確認します。大規模案件では、管理者の提案を別の法務・技術専門家が検証する予算を確保します。

総会ファイルは後から第三者が再集計できる形にする

原票から契約まで同じ議案番号でたどります。

総会後に残すのは議事録だけではありません。招集通知、発送先、到達不能記録、議案要領、出席票、委任状、議決権行使書、共有者代表、オンライン本人確認、当日出席、議案別集計、質疑、利害関係、根拠資料を一つの事件番号で保管します。

表計算の最終セルだけでは、重複投票や無効票の判断を検証できません。原票と集計ロジックを残し、修正した場合は変更前、理由、承認者、時刻を記録します。個人情報を含むため、区分所有者が閲覧できる範囲と、連絡先等を秘匿する範囲を分けます。

マンション管理組合保険の選び方と同様に、事故が起きてから証拠を集めるのではなく、平時の管理記録を継続します。規約、名簿、長期修繕計画、総会決議が別の委託先に分散している場合、契約終了時に編集可能な形式で返却されるかを確認します。

マンション管理組合の監事が、招集通知、委任状、議決権行使書、議案別集計表を原票と照合している。
成立・不成立の結論だけでなく、第三者が同じ母数と票から再集計できる証拠を残します。

総会の品質は議事録の文章量ではなく、招集から原票、集計、決議、契約まで同じ議案番号でたどれるかで決まります。

次回総会までに行う五つの点検

規約、名簿、集計、再生条件、利益相反を確認します。

第一に、現行規約と2026年改正法・標準管理規約の対応表を作ります。第二に、区分所有者名簿、国内連絡先、共有者代表、相続・売買の更新手順を確認します。第三に、普通決議と特別決議の集計様式を議案別に作り、頭数と議決権を自動・手動の双方で試算します。

第四に、長期修繕計画と建物診断から、修繕、改修、建物更新、建替え、売却の検討開始条件を設定します。第五に、管理会社、外部管理者、設計者、施工者、事業協力者との利益相反と、記録返却条件を契約で確認します。

法改正を一度の規約改正イベントとして閉じず、区分所有者が変わっても総会を正しく開ける日常管理へ落とします。投票率を上げる広報と、決議を適法に成立させる手続は両方必要ですが、前者が後者を代替することはありません。

点検結果は、法改正対応済みという一語で管理しません。未改正条文、名簿未更新住戸、所在調査中の住戸、集計様式の試験日、再生検討の技術資料、利益相反のある契約を別々の期限へ置きます。総会直前の役員交代があっても、新しい担当者が議案ごとの残作業と根拠資料を説明できる引継ぎ表を残します。

区分所有者向け説明会では、法文の読み上げより、現在の規約でどの票がどう数えられ、改正後に何が変わるかを一つの架空議案で再集計します。欠席、共有住戸、代理、議決権割合、所在不明を含む例を使うと、数字だけの誤解を総会前に見つけられます。

参考情報

改正法、標準規約、再生手続を支える国土交通省等の資料です。

以下は2026年9月8日に内容と到達性を確認した一次情報です。

よくある質問

気になる質問を開くと、本文の重要点を短く確認できます。

2026年4月以降は出席者の過半数だけで何でも決められますか?

いいえ。普通決議でも総会の定足と、出席区分所有者・議決権の要件を確認します。規約変更や建替え等の特別決議は別の多数要件があります。

連絡が取れない区分所有者は総会の母数から外せますか?

管理組合の判断だけでは外せません。所在調査を行い、改正法に基づく裁判所の手続を利用できるか確認します。

標準管理規約が改正されたら自分のマンション規約も自動で変わりますか?

自動では変わりません。改正法と現行規約を照合し、必要な規約改正案を適法な総会手続で決議します。法と抵触する旧規定の扱いは個別に確認します。

老朽化マンションは4分の3で必ず建替えできますか?

一律ではありません。対象となる法定事由、技術証拠、建物・敷地の状況、決議の種類によって必要多数が異なります。

建替え以外にはどのような再生方法がありますか?

改正後は建物更新、建物敷地売却、取壊し敷地売却、取壊し等が制度化・拡充されています。権利、費用、退去、事業不成立時を含めて比較します。

総会で取壊しが決まれば賃借人へすぐ退去を求められますか?

総会決議と賃貸借の終了・明渡しは別の問題です。契約、法定手続、補償、移転期間を確認し、賃借人対応を事業計画へ含めます。

タグ
#マンション#区分所有法#管理組合#総会#建替え#マンション再生#2026年

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