会社が学校へ100万円を寄附し、地域イベントへ100万円を「協賛金」として払い、認定NPOへ100万円を送金した。同じ100万円でも、法人税の計算は同じではありません。相手の法人区分、財務大臣の指定、広告等の対価、支払日、証明書によって、全額損金、別枠限度、一般枠、寄附金以外の費用へ分かれます。
経理が領収書の摘要だけを見て「寄附金」へ入れると、使える特別枠を失うことがあります。反対に、公益性が高いという理由で全額を損金にすれば、申告で否認される可能性があります。稟議の段階で税務区分を仮置きし、支払前に証明を回収します。
会社の寄附は、目的の善し悪しではなく、寄附先の法的区分、指定の有効性、対価の有無、支払日、保存証明で損金算入枠が決まります。
本記事は2026年9月8日に、国税庁の寄附金範囲・損金不算入計算、寄附支出時の解説、特定公益増進法人、認定NPO法人等、財務省の法人税関係告示、法人税法、交際費等との区分を確認しました。実際の申告は資本金等、所得、連結・通算、国外法人、完全支配関係、現物資産、指定期間等で変わるため、税理士と個別に計算します。
最初に五つの箱へ仮分類する
受取人、指定、対価から支出の税務区分を分けます。
第一は国または地方公共団体への寄附金、第二は財務大臣が指定した寄附金、第三は特定公益増進法人や認定NPO法人等への寄附金、第四は一般寄附金、第五は広告、共同事業、会費、購入など明確な対価がある支出です。
国等への寄附金と指定寄附金は、要件を満たす範囲で全額損金算入となる扱いがあります。特定公益増進法人等と認定NPO法人等には一般寄附金とは別の特別損金算入限度額があり、超過部分は一般寄附金の枠を使える場合があります。一般寄附金は資本金等と所得に応じた限度額までです。
名称は分類を保証しません。「○○市を応援する寄附」でも支払先が市の外郭団体なら、地方公共団体への直接寄附とは異なる可能性があります。「文化協賛」でもロゴ掲出や招待席の対価が契約で明確なら、広告宣伝費や交際費等との区分を検討します。
寄附申込書の題名ではなく、誰に何を移し、会社は何を受け取り、どの法令区分を証明できるかで五つの箱へ入れます。
一般寄附金の10万円を式から出す
資本金等と所得を使い、単純例を円単位で計算します。
普通法人の一般寄附金の損金算入限度額は、資本金等の額を基礎にした部分と所得金額を基礎にした部分を合計し、その4分の1とする国税庁の計算式が基本です。12か月事業年度の単純例として、期末資本金等の額1,000万円、寄附金支出前の所得金額1,500万円を置きます。
資本金等基準は1,000万円×2.5÷1,000で2万5,000円、所得基準は1,500万円×2.5÷100で37万5,000円、合計40万円の4分の1で10万円です。一般寄附金を100万円支払えば、この前提では90万円が損金不算入となる概算です。
これは説明用の単純計算です。月数按分、資本金等の調整、所得金額への寄附金加算、欠損、完全支配関係、国外関連者などで変わります。会計上の利益1,500万円をそのまま式へ入れず、申告調整後の基礎額を使います。
「寄附額の何%まで」という定率ではありません。資本金等1,000万円、所得1,500万円の例では、一般枠は100万円ではなく10万円です。
特定公益増進法人等は一般枠と別の計算を持つ
特別枠と一般枠の順序を確認します。
特定公益増進法人に対する、その法人の主たる目的である業務に関連する寄附金は、一般寄附金とは別の特別損金算入限度額を使えます。公益社団・公益財団、学校法人、社会福祉法人などでも、対象法人・対象業務の要件を確認します。
先ほどと同じ資本金等1,000万円、所得1,500万円の単純例で、国税庁が示す特別枠の式を用いると、資本金等基準3万7,500円と所得基準93万7,500円の合計97万5,000円の2分の1で、48万7,500円が概算です。一般枠10万円とは別に計算し、特別枠を超えた部分は一般枠の残りへ回る可能性があります。
認定NPO法人等への寄附にも特別枠があります。ただし、NPO法人と名乗る団体がすべて認定NPO法人等ではありません。認定・特例認定の有効期間、法人名、寄附目的、発行された証明を支払時点で確認します。
指定寄附金は「有名な募金」ではなく告示を確認する
対象、期間、使途、振込先を公式告示へ戻します。
指定寄附金は、公益を目的とする事業に使われ、緊急性や広範性などの要件の下で財務大臣が指定した寄附金です。特定の災害義援金、教育・研究、共同募金などでも、個別指定または包括指定の対象と期間を確認します。
寄附募集のウェブページに「税制優遇」と書いてあるだけでは、法人の全額損金算入を確定できません。財務省告示、募集主体の案内、指定期間、対象事業、振込先を照合します。指定対象の口座ではなく、関連団体の一般口座へ振り込めば扱いが変わる可能性があります。
寄附後は、指定寄附金に該当する旨、受領日、金額、法人名を示す書類を保存します。告示の指定期間終了後に送金した場合、申込日が期間内でも支払日の扱いを確認します。
指定寄附金は「公益性が高そう」という評価ではなく、告示の対象、期間、使途、受取口座と自社の支払を照合して判定します。
協賛金はロゴ一つで全額広告費になるわけではない
具体的な対価と金額の対応から区分します。
イベント協賛100万円の見返りに、会場看板、ウェブサイトのロゴ、パンフレット広告、顧客招待席、商品展示があるとします。広告の対象、掲載期間、サイズ、来場者、招待者、成果報告を契約で定め、100万円との対応を検討します。
ロゴが小さく一度載るだけで、実質は主催者への資金援助なら、支出全額を広告宣伝費とする根拠は弱くなります。取引先を招待して接待する部分は交際費等、返礼品の購入は物品費、対価のない部分は寄附金というように、合理的に分ける場面があります。
国税庁は、寄附金、交際費等、広告宣伝費の区分を名目ではなく実態で見ます。社内稟議に「地域貢献」と「広告効果」の両方があるなら、契約書、掲出写真、媒体資料、招待者、成果報告を残し、後から都合のよい目的だけを選びません。
協賛金の税務区分は、ロゴの有無ではなく、100万円に見合う広告・販売促進・接待等の具体的な対価を会社が受けたかで分けます。
未払寄附金と仮払金は勘定科目を逆に見る
決議日や科目ではなく実際の支出を確認します。
法人税上、寄附金は実際に支払った事業年度で扱うのが原則で、期末に未払金として計上しただけの額はその期の損金算入対象になりません。取締役会が3月31日に寄附を決め、4月5日に送金したなら、決議日だけで3月期の寄附金に入れません。
反対に、実際に送金したのに仮払金や前渡金で残している額は、支出した寄附金へ含める取扱いがあります。決算科目を見て寄附金ゼロと結論づけず、現預金、仮払、役員立替、現物資産の移転を検索します。
クレジットカード寄附、クラウドファンディング、従業員募金への会社上乗せでは、決済日、決済代行者、最終受取人、返礼、キャンセル条件を確認します。カード利用日と口座引落日だけでなく、税務上の支出時期を証明できる資料を保存します。
未払計上は支出済みにならず、仮払処理は未支出を意味しません。勘定科目ではなく、財産が相手へ移った日と返還可能性を確認します。
現物寄附と低額譲渡は時価との差を残す
帳簿価額ではなく移転時の価値を証明します。
現金ではなく、土地、建物、株式、在庫、設備、サービスを無償で渡す場合も寄附金の論点があります。法人が時価1,000万円の土地を公益法人へ無償譲渡したとき、帳簿価額だけを寄附額とする前提にはできません。時価で譲渡したものとして損益と寄附金を検討します。
時価1,000万円の資産を関係のない団体へ100万円で売る低額譲渡でも、差額900万円が実質的な贈与となる可能性があります。不動産鑑定、複数見積り、市場価格、劣化、負担付き条件を契約日近くの資料で示します。
在庫食品の寄贈では、品質、廃棄予定、配送、受領、転売禁止、事故時の責任を整理します。食品寄附とフードバンクの契約のように、税額だけでなく安全とトレーサビリティを含めて判断します。
証明書は法人名だけでなく対象期間と使途を見る
認定・指定が自社の支出日に有効か照合します。












